白
穏やかに半月型になった唇。
白い手が、頬に触れる。
冷たい。
見透かした目が、攻撃的で自虐的な思想を誘う。
でもその指が、荒れる僕を戒める。
その白い肌は、別の色を受け入れない。
きっといつだって白いまま。
何色にも染まらないで、孤高なまでにそのままなのだ。
全てを受け入れているくせに、全てを跳ね返す。
まっさらな存在は、常に誰かを傷つける。
それとは逆に、その存在は傷ついたってまっさらだ。
何者にも侵されないというの。
そんな存在は、全てに染み渡っていくのに。
狂おしいほどの誰かの想いすら、笑って捨ててしまえる。
無垢で残酷。
それでも愛しい、清らかな君よ。
この想いにも、気付いているのは知っている。
応えてなど、くれないことにも。
その手を僕の頬から離したときに、僕らの別れが来るのだ。
その一瞬は、きっと永遠にも似た時間。
せめてその色を、僕の中に僅かに残したいから。
この穏やかな瞬間が終わる、その時に。
全ての終わりにその手をとって
噛み付くような、キスをした
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