不可視





私は、何処に居るのか

私は、誰であるのか

 

私は『自分』というものが、時折見えなくなる

 

見えなくなることに

その時は酷く不安を覚えるのだが、

手の施しようの無い虚無感も

同時に存在するのである

 

飲みこまれて行くと感じるのは

時の流れの所為なのか

はたまた

『運命』と言う名を誇らしげに掲げる

体の良い逃げ道なのか

 

私は、何処に居るのか

私は、誰であるのか

 

誰も問いには答えぬ

誰もその答えを知らぬ

 

私もその答えを求めてなど居らぬ

 

問い掛けるが、知られたくは無い

問い掛けるが、気付きたくは無い

 

私が気付くのは、己の中にある深い闇だ

 

深い深い闇の中で

永劫覚めぬ夢が見たい

 

幸せに成る方法は

 

私にとっては

唯、其れだけなのだ。





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退廃的100のお題
097.無