■帝國の一日



ごほんっ、んーーーー、あーあーあーあー。
おい。これちゃんとマイク入ってるのか?そうなのか?どうなんだ?
入ってるのか、そうか。
何?もう声拾ってる!?
いかん、早く喋らねば!

えー、皆様こんにちは、100万ドルの笑顔の持ち主と言えば私、スペシャルスマイリスト、天崎一桂少将です(ニカッ!!!!)
何?いきなり笑顔が変わった?うるさい、秋山。
貴官後で『怖い怖いお化けシリーズF』を耳元で朗読してやるからな。
ダンシングお化けシリーズだ(意味不明)

― 秋山少佐の悲鳴 ―

いえ、何でもありませんよ、臣民の皆さん。
今日は天崎が帝國の一日についてリポートします。
現在元帥府に居ないのは鳴海少将・草薙大佐・星野中佐・風間少佐・有馬大尉・倉橋、武藤の両中尉です。
鳴海少将と中尉二人はお買い物です。
草薙大佐・風間少佐は逃げたものと思われます。
有馬大尉は早退です。
星野中佐は…最近見てないなあ。

さてと、ここでやっぱり映画の上映(?)につきものなのは、口寂しさを紛らわすものですよね。
おい、長沢、カレー持ってこい。
何!?映画といえばポップコーン!?
違う!カレーだ!インド人はカレーだ!
…カレー味のポップコーン?…まあ、それでいいだろう。

「コラ、待ちなさい柊生ちゃん!」
「やだーーーーーー!」
「お待ちください柊生元帥!」
「そのお体で刀など振り回しては危険でございます!」

あ。

「出したものは片付けなきゃダメって言ってるでしょ!?」
「やだー、やだー!」
「定光寺中将、恐れながら論点がずれております!」
「片付けより刀のほうが危険です!」
「待ちなさい柊生ちゃん!」

えー、ここで少し解説しておきたいのは、小官の従兄、インド人オリエンタル・アマチーニ・ボン・ククレの新しく作った薬により、柊生元帥は只今精神年齢どころか体まで小さくなっております。薬の効力がいつまでなのかは判明してません。
定光寺中将が例によって例の如く、柊生元帥…改め(?)柊生ちゃんのお世話しているわけです。春木大佐・加納中佐がお供として、一緒に走り回っています。いやはや、あの二人が走るとでかいですねー。

は?小官?

小官見てるだけですよ?
お手伝いなんてそんな!そんな!
遠くから見てるから面白いに決まってるじゃないですか!
やっぱり近いようで遠くから見る。これこそ醍醐味です。
何だ?お、すまんな長沢。
んーーーー、インドの香りだ(満足)

「定光寺中将絵本読んでー!」
「片付けない子は知りません!」
「読んでー読んでー!」
「じゃあ小官がお読みいたしますので、どうかその刀…」
「加納じゃダメ!!!!!!!!!!!!!!!」

あ、加納が沈んだ。
マッハで答えてましたね、柊生元帥。
子供に戻っても突っ込みは超一級。びゅりほぅ、わんだほぅ!

「定光寺中将だっこしてー。」
「片付けちゃんとしますか?」
「するからだっこー。」
「ではその刀をー…」
「さっきからウルサイ!えいっ!」

ぶしゅっ!

「ずぶぉあー…ぷしーーー…」
「かっ…加納中佐!」

…加納やられてるし。
コラ秋山、やっぱり弱いなー、なんて事実を言ってはいかん。
死者を愚弄すると、たたりがあるぞ(注※加納中佐死んでません)

「柊生ちゃん『ごめんなさい』は!?」
「…。」
「人を斬ったら『ごめんなさい』でしょ?」

定光寺中将、なんだか滅茶苦茶なお説教です。
斬ったらごめんなさい以前に

人を斬っちゃいけません。

っていうか

加納の心配すらしてません。

憐れなり、加納…。
春木が必死になって指を加納中佐の目の前でひらひらしてます。
目が〜目が〜って…切られたの目じゃないだろ、加納。
あ、こてっといったぞ、こてっと。
迷わず成仏するんだぞ。(死んでない)
間違っても祟らないようにな!
…ああ、惜しい軍人を亡くしました…よよ(だから死んでません)

「定光寺中将、ここはビシッと言わねばならん。」

立花大将どこから出てきたんですか。唐突ですね。
加納中佐踏まれましたね。うえって言いましたよ、うえって。顔真っ青です。
あ、長沢、ポップコーンもう一つ頼む。これ結構いけるな。

「柊生ちゃ〜ん、元気かなぁ〜?」

それのどこかビシッとなんですか、立花大将。
あと、なんなんですか、その笑顔は。

「愛の狩人、立花馨だよ〜。イエーイ。」

ビシッと言うのと、愛の狩人の関係は無さそうです。

「えい。」

…立花大将も斬られた…。
何のために出てきたんですか?
…出番短かったですねえ。
お、すまんな長沢。結構後を引く味なんだ!

「柊生ちゃん!!!!!!!!!!」
「…ごめんなさい…。」

定光寺中将の顔が輝きました。

「よく言えましたね〜、じゃあだっこしてあげましょうねー?」
「ホント!?」

…もぐもぐ。イケる(もう既に見ていない)

「はぁーい、高い高ぁ〜い☆」

立花大将心配すらされてませんね。
定光寺中将、柊生元帥を溺愛です。

親バカです。

定光寺中将に、将来お子さんができたらこんな感じなんでしょうか。
はー、しっかし、これから第十四帝國どうなるんでしょうね、もぐもぐ。
いっそのこと託児所に?
…それも困るなあ。軍人だしなぁ…。

でも

面白いからこのままでも良いような気がするな。

もぐもぐ。

「あまざきぃ。」

誰ですか、小官呼ぶの。
今小官食べるのに忙しいんですよ、もぐもぐ。
スパイシーチキンカレー…んっ、んまいです。

「ねーねー天崎っ。」

はっ…柊生元帥、通称柊生ちゃん。
その時、天崎の手からポップコーンがはたり…と落ちた。

「何でそんなに説明的なんだ?」

はっ…定光寺中将、通称てるるん。

「てるるんってなんなんだ!それより、どうしてマイクとポップコーンなんて持って、そんなところからこっちを見ているんだ?秋山、そのカメラなんなんだ?長沢もサングラスなんてして…」

やっ…これはですねえ…その…ほらっ、柊生元帥の成長記録と申しましょうか…。
とにかくっ、そんな感じなんですよっっっ!!!!!!!!!
やだなー、定光寺中将、そんな疑わしい目で見ないで下さいよ。

「別にそれなら構わんが…」
「あまざきーっ、遊んで〜っ」

はっ、はい!?小官ですか!?

(O▲O;)

秋山・長沢…どうして倒れているんだい?
そんな不自然な格好で…血なんて流して…
……血?
………………血。

…って斬られたのかよ!!!!!!!!!!!!!!(-▲-;)

「ねー。」

可愛い笑顔でねだらないで下さいよ!
っていうか刀、刀!!!!!!
定光寺中将、何とかしてくださいよ、危ないですよ!

「まあ、柊生元帥がお気に召しているから良いじゃないか。」

そう言う問題じゃありませんよ!

「行くぞぉ〜!」

いや、行かなくていいですから!
うわっ!袖掠りましたよ!
いかん、身の危険がっっっっっっ!というより

もはや生命の危機。

ですので、これにて、レポート終了しまっ…おわぁっっっ!!!!!!!!
ちょっ、ちょっと柊生元帥!
さり気に目がマヂ!?!?!?!?!?!?!?

「叩ききってやるぅぅぅ!」




ちーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。




-----------追記。-------------

元帥府の中は、嵐の後のようだったらしい。
柊生元帥は、帰ってきた鳴海お母さんに大目玉をくらい、いつの間にやら帰ってきた有馬大尉に何気なく、無言のうちに慰められていたのを目撃したと、草薙大佐が証言している。


そして、天崎少将の消息は、依然として……知れない。