「何してるんですか、隊長」

「何を言うんだい。僕は隊長じゃないよ」

「隊長は隊長じゃないですか」

「違うよ。君の隊長には、白いヒゲはあるのかい?」

「ありませんよ」

「ほぅらごらん。僕にはとっても白い、立派なおヒゲがあるのさ」

「…それじゃあ、あなたは誰ですか」

「僕はサンタクロースさ」

「………へぇ」

「おや、信じていないね?困ったなぁ」

「困るんですか」

「いや、別に困らないけどね」

「…………。」

「どこかに赤い鼻のトナカイはいないかなあ」

「…………。」

「何処を探しても、トナカイの鼻はみんな茶色だよ。光らないしね」

「赤い鼻のトナカイなんて、居るわけないじゃないですか」

「何を言うんだい!君、『赤鼻のトナカイ』って歌を知らないのかい!?」

「知ってますけど、あれは歌じゃないですか」

「違うよ、事実だよ」

「どうしてですか」

「僕の兄貴が、昔捕まえてきたのを見たことがあるからさ」

「え」

「楠田エリコとか、幸田シャーミンのマネをしていたよ」

「えぇ?」

「名前はね、リチャードって言うんだよ」

「それ…たぬきじゃないんですか」

「違うよ、トナカイだよ。赤い鼻で、光っていたからね」

「そうですか」

「そうなんだ」

「へぇ…」

「仕方がない。君にトナカイになってもらおうかな」

「嫌ですよ」

「ほら、これ鼻。光るんだよ」

「笑顔でスルーするのやめてくれませんか」

「ほら、着ぐるみもあるよ。鈴つき」

「有無を言わさない気ですね」

「あとは、ほおかむりがいるね」

「トナカイを何と勘違いしてるんですか」

「やっぱりクリスマスだから赤がいいね」

「…聞いてないですね」

「やぁ、雪だ」

「はぁ…」

「がんばってみんなに、プレゼント配ろうね」

「………………………はい」










まる。-謎のサンタクロースに強引にトナカイにされる僕-
/第十四帝國