過光線ディジィ


 毎日は詰まらない今日の繰り返しだ、と好く君は云う。
 同じ毎日なんて存在しない、と返そうかどうか迷ったが、面倒だったから結局云わず仕舞い。
 もし仮に、同じ毎日の繰り返しだというのなら、詰まらない明日がまた来ることを知っているのは、何と言う幸福か。
 穏やかな日々なんて、目には見えぬ密やかな幸せでしか成り立たぬ。

 僕は詰まらぬ明日の価値を知っている。しかし、詰まらぬ明日の泳ぎ方を知らぬ。
 君は詰まらぬ明日の価値なぞ気にも止めまい。しかし、その日々に暮らす術を知っている。

 前を歩く君を見た。いつもと、寸分変わらぬ後姿。
 明確な輪郭を持って、日々の中で存在している。
 それが生きているのか死んでいるのか、そう大差ないと割り切っている、世界なぞあやふやだと思っている自分の目の前に、確かな温度でそこに在るから。

(僕なんぞよりも、君の方がよほど毎日の楽しみ方を知っているよ)

 だけどそれも、結局云わず仕舞いになるのだ。
 いつも目が眩んでしまう。


 君越しに見る 鮮やかな世界は 眩しすぎて 眩暈がするの