片恋フェイダフェイ


 風が、傷痕を撫でた。
 感触が甘い痺れに変換されたら蘇る。
 嗚呼、まだ居たの?
 在りし日の、心に鮮やかな君。
 知らないフリを、していただけなのかもしれない。

 永遠なんて信じていなかったのに、変わらないと思おうとした。
 幼い気持ちは膨らんで、独りで立とうと足掻いていた。
 在ると思ったその足が、幻だとも気付かずに。

 一時ごとに褪せる過去を、消えていくものを、笑って見送っています。
 執着なんて、無いようです。
 悲しみすら、堆積した過ぎしものだから。
 過ぎれば柔らかな傷に変わって、何時だか所在もわからずに、疼くだけになる。
 でも、まだ微かに覚えています。
 確かにそれは、恋でした。
 愚かで可愛い、恋でした。

 もうすぐきっと きみのことなんて わたしはすっかりわすれてしまうよ