ムカムカ


ムカムカムカ


ムカムカムカムカムカムカ



えへ☆と奴が笑った瞬間に





「オマエちったぁ危機感持て、ダァホ!!!!!!!!!」






あたしは爆発した(もともと堪え性ないんだもん!)








               ! ! !

                                       副題(?)〜おへそよりも黒こげ希望〜







うっすらこめかみに青筋立っているであろうあたしを見て、さすがに青ざめてさっきのカワイコぶった笑いを引っ込める。

外では雨がざーざー降ってる。
窓が雨に叩かれて、ばつばつ言ってた。
雲がたまに明るくパッと光る様子が、稲光がちょっと見える感じが、何かあたしの心境と似てるなと思った。
内心どっか冷静?


あたしの目の前に居るこの男は、あたしの幼馴染だ。
家は隣だわ、なんの因果か知らないけれども、幼稚園から大学までずっと一緒だ。
大学に至っては学部も専攻も一緒だ。迷惑だ。
どっかの漫画のようだけども、そればっかりはひっくり返しようの無い事実なのさ。


ひっくり返せるもんならひっくり返したいけどさ!
過去には戻れないのよ!あたしじゃどーしようもないのよ!!!!!!


そう、家がお隣さんで、学部が一緒。
この男は、よく寝る。っていうか寝汚いくらい寝る。
授業中も当たり前に寝る。起きてるところはあんまり見ない。
授業中に寝る…すなわち学校に来ているということになるが、家で爆睡もしょっちゅうだ。

ってことはだ。

ノートも無い。プリントとか資料も無い。
それだけだったらまだコピーできるけど。
先生の中には出席取る先生も居るわけで。
寝てりゃあ学校もこれないってわけで。



出席点も無いのだ、こいつは。



出て無くても、レポートとかテストだったらなんとかなるかもしれない。
でも出席点がある場合、何回以上欠席だとテスト出席の権利ももらえない。



そのおかげで1年のうちでとった単位の、何単位落としてるんだろう。ばか。



そう、今回ヤツはふらりと家にやってきた。
おかーさんが気に入ってるせいで、なんちゅーか、我が家にはフリーパス状態。
チクショウ、あたしだって年頃の娘さんだぞ。あたしの都合はどうなるんだ。
そう母上に言ったら「あら、やだもー照れ屋サン!」と頬に手を当てつつ、そう返された。
わけがわかんなかった。
要するに、あたしの事情はどうでもいいってことね!(アイヤー!

話が逸れたが、家にやってきた事情は、先ほどの単位の問題で。

友達が一緒にとっていないという話は前聞いた。
その授業は半年で2回提出物を提出しないといけなかったんだけども、2回目の提出の時にはヤツはプリントを案の定もらいそびれていて。
出席して無さ過ぎて、すでにもう2コ授業落としてたし。
あたしも甘いもので「仕方ないな…」とプリントまでわざわざ持って帰ってきて、提出しろ!と渡した。しかもノートのコピーつきで。
そんなことしてたら、ためにならないのはわかってたんだけど。


なのに


何故か追試のプリントを貰ってきていた。


今日、そのプリントを持ってきてこう仰ってくれちゃったのだ。


「出し忘れちゃってたのに気付いてねー、慌てて先生のところに行ったら、あんまり出席してないし、新しいプリントやってきなさいって言われちゃったぁ。でも言葉の意味がわかんなくてねえ。」


困っちゃった、えへ☆


ときたもんである。


普通は、すいません出し遅れましたと言ったら突っぱねられるか、先生がやさしければ貰ってくれる。
で、その先生は結構温厚で、事情さえ説明してくれれば「ハイハイ」と笑ってくれる先生だ。
なのに「新しいプリントやってきなさい」なのだ。出席してないのもバレてんのだ。
出席してないヒトにはちょっと厳しいと聞くが…
たまに出席してきても寝てるし、こいつ。


しかもイチバン前で!!!!!!!!!!


でも、そんなけフマジメなのに、先生がラストチャンスを与えてくれたわけで。


なのに「えへ☆」である。


これを落としたら、授業3コ落としたの決定なのに。
単位総合計6単位落とすことになるのに。
1年でこの男が授業をそんなにとるわきゃないから、6単位って貴重なのに。

わかってない。

というわけで、イチバン最初のあたしの叫びに至るのだ。

「あんたはほんとに毎回毎回!」
「ごめぇん、せっかくノートもコピってくれたのに…」

しゅん…とうなだれるところを見ると、一応反省はしているらしい。
でもコイツの反省はクセモノだ。
そのときは反省する。でも次に活かされない!!!!(キィッ

「ごめんね?」
「ヤダ。」

フンとそっぽを向いて即答するあたしを、情けなく上目遣いで見てくる。
何故かあたしはいつもヤツのとばっちりをくっている。
突っぱねてしまえばいいのだけど、今みたいにすがる子犬の目をされると、どうにも見捨てられない。
くりくりした目とか、ちょっとふわっとした髪の毛とか、すぐ笑ったりしょんぼりしたりするのが、ぽやーっとしてる犬コロみたいで、どうにも憎めないからなんだろうけど(小型犬というより大型犬だけど


結局いつも折れるのはあたしなのかもしれない。


「で?」
「『で』?」
「プリントは!?」


そっぽを向きながらぶっきらぼうにそう言うと、犬が喜んで尻尾振ってるみたいな顔をした(のが横目で見えた)。


「やってくれるの!?」
「やりゃしないわよ、わかんないとこだけ手伝う。あたしがやったらあんたのためになんない。」
「そんでもいい!ありがとぅ。」


えへへとほんとに嬉しそうに笑うと、持ってきたノートとプリントをがさごそ出し始める。
…とても20代とは思えん…愛らしくてムカツク。


「これー。」


ちょっとくしゃくしゃになったプリントをあたしに差し出す。
問題を見てみると、先週と今週のノートさえあればできそうだ。
…そういえば先週も授業出てなかったもんな、この男。

良かった、あたしのノートだけで何とかなりそうだ。


プリントを持ち上げたら、ヒラヒラもう一枚紙が出てきた。
掴み損ねたみたい。
何?




…………ん?




「コタロー…」
「んー?」
「『歯車・迷宮』って読んだことあった?」
「ないよー。本読まないもん。」



………………。



「イチバン最初に書かされたアンケート覚えてる?」
「最初に提出したやつだよね?」
「そう。『好きな本は?』ってやつね。」
「あー、そうだったねえ。」


そう、イチバン最初の提出物の課題はこうだった。


『あなたが最近読んだ本の中で、印象的だった本は何ですか?
 簡単な本の内容の紹介もしてください。
 無い場合は授業でわかったことを書いてください。』


今回の課題+アルファの内容。先生の手書き。


『プリントともう1つ。
 1回目の提出のとき聞きましたが、あなたが読んだ『歯車・迷宮』の感想と、
 そこから発見したことを2000字程度で述べなさい。』


プリントをずぃっとヤツの目の前に突きつける。


読んだら、サァッとヤツの血の気が引いた。
そりゃまあ…本読まなきゃいけなくなったわけだもんねえ。


「なんで読んでも無い本のこと書けたのよ?」


「えっと…」
「なんでかな?」
「ガッコ行く前に、無料情報誌みたいなの貰って…そこに載ってた。話題作って。」


あたしの記憶違いでなきゃあ、こいつは授業寝ていた。
一番最初にもかかわらず。
だから…感想書けなかった、と。


「どうしよう。」
「提出まであと1週間くらいあるんでしょ?先生もどうせ読み直すの想定してるわよ。がんばって読めばいいじゃない。本の感想だったら、1800〜2000は何とかなるよ。」


困った顔をして、ちょっと沈黙する。


「…あさってなんだ。」
「は?」
「提出、あさって。」
「そんなに早いの!?」
「いや…」


ヤツはちょっとだけ、照れたように言った。




「これ、先週貰ったんだけど、プリントだけだから何とかなると思って。あはは。とりあえず明日図書館行ってきたほうがいいかなぁ?あ、咲、この本持ってる?読んだ?教えてよ〜。あはは。」




持ってないよ。そんな恋愛小説読まないのよ、あたしは。それに明日は月曜日だから図書館休みだよ。これはやっぱり今から買いに行けってこと?でも出たばっかのハードカバーの本じゃなかったっけ?そもそも2日で2000字ってあんたには辛いでしょーが。何でそんなに無邪気に笑ってんのよ。ああやっぱり手伝うなんて言わなきゃ良かった。




ゴロゴロと、近くで雷の音が聞こえた。
ああ、やっぱり今の自分の心の音みたいだ。
あたしは机に手をついたまま、俯いた。
この内面からこみ上げてくる何かはなんなんだろう。






ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…






すぅと息を吸い込んだ。







「こんのぉ、大バカっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!」








あたしが叫んだと同時に、ピッシャーン!というものすごい音がして、雷が落ちた。
多分あたしの顔は鬼みたいだと思う。


ああ、やっぱり空と今は同調してるのかもね(冷静


コタローがビビリつつ、「咲、雷様みたい!ヘソとられそー!」なんて言いやがった。


あんたのおへそ?そんなのいらないわよ。それよりも…



あたしは思い切り凶悪な目つきでヤツを睨むと、落ちる雷鳴と同時に言い放ってやった。





あ ん た な ん か 黒 焦 げ に し て や る !(災難大王め!





コタローは半泣きで(ほぼ泣いてたか)謝りながら土下座した。




ふんっ







   Q.あたしと雷様、どっちが強そうよ?



      A.…あえて言わないよ…いえ、言いません。







  答え:今んとこあたし(嬉しくないかも。でももともとコイツのせいだ!)















文字書きさんに100のお題
009:かみなり